【第7回】早期離職対策|人材を定着させるための方法

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岡本 健太

県庁出身の採用定着士・行政書士。児童発達支援事業所利用者の保護者でもある。福祉の採用定着問題を解決し、「利用者の満足度アップ」「スタッフの待遇の向上・福祉の質の向上」「経営の黒字化」という福祉版「三方良し」を達成する事がミッション。著書に、中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本(セルバ出版)がある。

新入社員をフォローすべき4つのタイミング

新入社員をフォローすべきタイミングが4つあります。

それは、①入社初日、②最初の休日、③入社1カ月後、④入社3カ月後といったタイミングです。

ですので、それぞれの節目でフォローをするようにしましょう。

以下では、それぞれのタイミングでのフォロー方法についてお話します。

入社初日にすべきフォロー

早期離職を防ぐために一番重要なのは「入社初日」です。

なぜなら、入社初日は、転職者だろうとベテランだろうと、どんな人でも「新入社員」で、期待と緊張がふくらんでいるからです。

だからこそ、ちょっとしたギャップにもナーバスになっており、離職の引き金を引きやすい状態なんです。

ここでは早期離職にならないためのフォロー方法をお伝えします。

①新人の挨拶を先輩がバックアップする

新入社員としては、自分から先輩スタッフに挨拶に行くのがマナーです。

とはいえ、緊張しているため、なかなか挨拶に行けない人もいるでしょうし、人によってはそういった事がストレスになる場合もあります。

ですので、「先輩スタッフや管理者が新人につきそう」といった対応を取り、新入社員が先輩に挨拶しやすい雰囲気をバックアップしましょう。

その際、新入社員は、緊張しているため、「挨拶はしたけど、正直、誰に挨拶したかわからない。もしかしたら誰かに挨拶し忘れているかもしれない・・・」といった心理状態にあります。

ですので、先輩スタッフに対しては、

「新入社員は緊張しているから、気さくに挨拶できるムードを作りましょう」

「新入社員は、緊張していて、みなさんへの挨拶が漏れている事だってあります。そんな時はこちらから挨拶に行くなどしてフォローしましょう」

と事前にフォローをしておきましょう。

②事業所の独自ルールを説明する

「会社の独自ルール」ってどこでもありますよね。

例えば、「出社時間の10分前には来社する」とか「トイレ掃除は当番でやる」とか「ゴミ出しは新人がやる」といった勤めている人しかわからないローカルルールです。

こういった組織独自のルールが、新人には当然わかりません。

わからないからこそ、先輩スタッフに聞かなければなりませんが、「いちいち先輩に聞く」という行為自体にストレスを感じる人も多いです。

こういった小さなストレスの積み重ねが早期離職につながります。

であるからこそ、あらかじめ「会社独自のルール」をマニュアル化し、新入社員に渡しておくといった対応を取るのがおすすめです。

ちなみに、「会社の独自ルール」としては、以下のようなものがよくあるので、こちらを参考に自社の独自ルールを洗い出してみましょう。

【出社ルール】 出社時間の何分前にきているものなのか、朝礼はあるのか(タイミングも)

【トイレルール】 トイレの清掃は誰がやるのか、男女で使う場所のルールはあるのか

【ゴミ出しルール】 誰がゴミをだすのか、ゴミの出し方にルールはあるのか

【休憩ルール】 喫煙者は喫煙してもいいのか、お昼のお弁当はどこで食べればいいのか

【備品ルール】 文房具は自分で用意するのか、どの備品まで事業所が用意するのか

【帰宅ルール】 上司に許可を取ってから帰宅するといったルールはあるのか

【飲み会ルール】 いつ開催しているのか、割り勘なのか会社負担なのか、参加は任意か強制か

ちなみに、入社日に歓迎会をやる文化がある場合は、入社の前にあらかじめ新入社員にその旨伝えておくようにしましょう。

最初の休日前にすべきフォロー

最初の休日は注意が必要です。

なぜなら、ちょっとした「会社へのマイナスイメージや新職場でのストレス」を解決しないままお休みに入ってしまうと、「この会社大丈夫かな?やっぱりダメなんじゃないかな?」といったマイナスの感情がヒートアップしてしまうからです。

その結果、マイナス感情が爆発し、休み明けに突然来なくなったりします。

そうならないためにも、休日前のフォローが必要なんです。

具体的には、配属先の上長が新入社員とミーティングする機会を設けましょう。

時間は、10分程度で構いません。

内容としては、「新しい職場大丈夫?何か大変な事ない?」といった「あなたのことを気にかけてますよ」というメッセージが伝わるミーティングにしましょう。

具体的には、次の3つのメッセージになります。

①環境変化へのフォロー

「環境変化」というのは、大なり小なり誰でもストレスになるものです。

ですので、少しでも休み前にストレスが減るようなフォローをしておきましょう。

例えば、

「初めての職場お疲れさまでした!前職との違いでストレスになっていることありませんか?お休み前に、〇〇さんの悩みや不安があれば聞いておきたいので、遠慮なく言ってくださいね」

こういったように、「新しい職場で疲れたよね」という共感メッセージをだした上、不安な事を聞いてあげるのが良いでしょう。

②仕事の困りごとが無いかの確認

「現実問題、何か仕事の上で困っていることがないか」についても確認しましょう。

なぜなら、新人は先輩に聞きにくいものだからこそ、「こんな小さなこと遠慮なく聞いてくれればいいのに」といった事を抱えて悩んでいることが多いものだからです。

ですので、「お仕事をしてみて、どんなことで困っていますか?」といった質問をしてみましょう。

ここでのポイントはオープンクエスチョンで聞いてみる事です。

ちなみに、オープンクエスチョンというのは、相手が自由に答えられる質問のことをいいます。逆に、クローズトクエスチョンというのは、「はい・いいえ」で答えらえる質問の仕方になります。

ですので、「お仕事をしてみて何か困ったことはありませんか?」(クローズトクエスチョン)ではなく、「お仕事をしてみて、どんなことで困っていますか?」(オープンクエスチョン)をすることで、新人の本音をひきだすようにしましょう。

また、「困りごとは誰に聞けば解決できるのか」といった解決策も伝えておくのも大事です。

なぜなら、新人なのでわからないことがあるのは当然ですので、「わからないことがあった場合の解決策」を教え、ストレスの軽減を図るのが現実的だからです。

ですので、メンターがいる場合なら「メンターに遠慮なく何でも聞いてみてくださいね」といったメッセージでもいいですし、スタッフの役割がわかる資料を用意して、渡しておくのも良いでしょう。

③休日はリフレッシュできそうかの確認

ここはプライベートとの兼ね合いで表現に気を付けるところではありますが、「お休みはリフレッシュできそうですか?どんな事でストレス解消してますか?」といった質問も軽くしてみましょう。

なぜなら、意外にスタッフとの趣味の共通点等がみつかり、相互理解が進む可能性もがあるからです。

「そんなプライベートなことまで聞くの?」なんて思うかもしれませんが、中小企業は良くも悪くもアットホームな組織ですので、人と人との付き合いの範疇で、共通点をさぐるのは大事なポイントになります。

その際、こちらからも自己開示を積極的にしましょう。趣味やライフスタイルで意外な共通点がみつかるかもしれません。もしかしたら、お互いの趣味のスポーツにおいては、新人の方が圧倒的に実力者かもしれません。自己開示したからこそ生まれる関係性や会話もありますので、積極的にコミュニケーションを図りましょう。

入社1か月目にすべきフォロー

入社1か月目は、今後、組織へ定着していく大事なタイミングとなります。

というのも、入社1カ月がたつと、だんだんと身の回りの困りごとが少なくなり、職場のルールや文化にもなじんできて、少し余裕がでてくるものです。

そのタイミングで改めて、「採用時の初心」を思い出してもらいましょう。

具体的には、「面接時にどういった期待を伝え、新人もどういった気持ちや期待をもって入社してきたのか」といった初心を改めて思い出してもらいましょう。

その上で、

「3年後どうなりたいか?」

といった中長期の目標を改めて確認し、

「じゃあ1年後はどうなりたいか?」

「半年後、はどうか?」

「3カ月後はどうか?」

「2か月目の来月はどうするか?」

といった落とし込みをしていきましょう。

こういった初心と目標を改めて思い出させることが、長く組織に定着するきっかけとなりますので、きっちり新人と向き合うのが重要です。

前職との比較での改善点も聞いてみる

「前職と比べて、うちの事業所が改善する点はないか?」といった意見も聞いてみましょう。

障がい福祉業界では、同業者からの転職も多いです。

だからこそ、「事業所をより良くしていく」という観点で、転職者の意見を聞いてみるのは大事です。

入社から時間が経つと、転職者も前職の記憶が薄れてきてしまうので、入社後1カ月くらいのタイミングで、聞いてみるのがよいでしょう。

入社3か月目にすべきフォロー

入社3か月目のタイミングも、定着の上では重要です。

というのも、3カ月もたつと経験者の方などは、職場に慣れて活躍し始めている事でしょう。それと共に、だんだんと初心を忘れ、日々の仕事がルーティン化していくタイミングでもあるからです。

ですので、改めて「なんでこの会社に入ったのか」という面接時、入社時のビジョンを思い出す時間をとりましょう。

内容としては、入社1カ月のタイミングでやったことと同じです。

「なんでこの事業所を選んだのか?」

「3年後この事業所をどうしたいか?」

「1年後はどうか?」

「半年後はどうか?」

こういった事を聞いていき、改めて組織と新人とのビジョンの共有を進めていきましょう。

こういったすり合わせが、組織と新人とのギャップを解消し、定着につながっていきます。

新人は「ほめる」事が定着への近道

新人教育は「ほめる」を中心に置くのが定着への近道です。

なぜなら、新人は活躍できず、失敗するのが通常のため、普通にしていても自己肯定感を失っている状態だからです。

にもかかわらず、「できなかったことを叱る」といった事を続けていると、新人は更に自信を無くし、居場所を失い、職場から離れていきます。

もちろん、仕事である以上「叱る」のもやむを得ないでしょう。

ですが、叱るだけでなく、「できたこと」にもフォーカスし、しっかりとほめてあげましょう。

この辺は、「利用者さんへの対応」と共通するところもあろうかと思います。「できなかったこと」ではなく「できたこと」にフォーカスし、スモールステップで、新人を成長へと導いていきましょう。

具体的には、入社半年くらいまでは「ほめる7:しかる3」といった割合を意識し、基本的には「ほめて伸ばす」というスタンスでいきましょう。

そうすることで、新人も自己肯定感を保て、職場に居場所を作れるようになります。

こういった積み重ねが、人材の定着につながります。

まとめ

【新入社員をフォローする4つのタイミング】

→①入社初日、②最初の休日、③入社1カ月後、④入社3カ月後

【入社初日にすべき3つのフォロー】

→早期離職対策のために最重要「①新人があいさつしやすいようフォローする」「②事業所の独自ルールを説明する」

【最初の休日前のフォロー】

→休日前にストレスのガス抜きをしておく「①環境変化への共感」「②仕事の困りごとの確認」「③休日のストレス解消策をきっかけとした相互理解」

【入社1か月目のフォロー】【入社3か月目のフォロー】

→改めて面接時・採用時の初心を思い出してもらう。

【「ほめて伸ばす」が基本】

→新人の居場所が失われないよう、「できたこと」にフォーカスし、入社半年くらいまでは「ほめてのばす」のが基本。そうして定着につなげる。