【元県職員解説】特定処遇改善加算とは?

The following two tabs change content below.
岡本 健太

岡本 健太

県庁出身の行政書士・採用定着士。児童発達支援事業所利用者の保護者でもある。福祉の採用定着問題を解決し、「利用者の満足度アップ」「スタッフの待遇の向上・福祉の質の向上」「経営の黒字化」という福祉版「三方良し」を達成する事がミッション。著書に、中小会社で活用できる「補助金」のことがわかる本(セルバ出版)がある。

電子書籍プレゼント中

第1章:福祉人材の採用がより厳しくなっていく理由

・2040年の成人は2000年から80万人減る
・社員300人未満の中小企業の採用は厳しい
・コロナ後でもリーマンショック後の2.5倍の求人数がある
・報酬改定により人員配置が厳しくなっている
・障がい福祉事業所数(採用のライバル)は増えている
・課題を解決すれば定着人材は採用できる

第2章:「採用コストが高い」の解決策

・ハローワークで人が集まらない理由
・「人材紹介」と「求人広告」は高い
・一番求人が集めやすい媒体は〇〇
・いま注目を集めているのが「オウンドメディアリクルーティング」
・Indeedは無料掲載もできるが、細かい掲載基準のクリアが必要

第3章:「応募がこない」の解決策

・知らない会社には応募しようがない
・「検索結果=競合先(採用のライバル)」であると認識すべき
・漠然と「いい人が欲しい」では集まらない。ペルソナ設定をすべき!
・採用ペルソナ(どんな人がほしいか)の設定手順
・求人票は「求職者との最初の出会い」
・「急募」とか書いてませんか?「求職者目線」が大事な理由
・応募が集まる求人原稿テンプレート
・求人原稿のポイント①とにかく具体的に!
・求人原稿のポイント②検索されるキーワードをいれこむ
・求人原稿のポイント③「Why」から始め心を動かす

第4章:「面接にきてもらえない」の解決策

・応募がきたら〇分以内に電話すべし!
・電話がつながらなかった時の効果的な対策
・電話もショートメールも連絡が取れない場合の対処法
・再度の電話がかかりやすい時間
・人材紹介会社が当たり前にやっている「掘り起こし」もやるべき
・応募者がきてくれる面接日程とは
・面接の案内状を送付しよう
・面接のリマインドは〇日前にすると効果的
・面接当日、5分前に応募者が到着しなかったら電話しよう
・面接会場をわかりやすくしておく
・既存のスタッフも歓迎ムード迎える
・面接会場も整えておく(特に電気やクーラー)
・面接まで少し待たせてしまう場合用に事業所のパンフレット等を置いておく
・応募者に飲み物をだす

第5章:「面接のやり方がわからない」の解決策

・面接は異常な空間であることをまずは認識しよう
・面接官も身なりを整えるのがマナー
・「圧迫面接」は昭和の価値観・令和は「ファン化面接」
・応募者をファンにする面接の流れ
・面接1回でその場で内定をだすのはNG!別日に条件面談を行う
・面接を2回にわけて行う場合
・東証1部上場企業もやっている!面接後のフォロー方法
・結果を伝えるタイミングと見送る際の気配り

第6章:「内定を辞退される」の解決策

・結果は早く伝える。でも「内定」とは言わない
・条件面談を行う
・「いつまでも待ちます」はNG!正しい内定の出し方
・在職者に内定を出すときに必ずやるべきフォローとは
・サビ菅・児発管に内定を出すときの注意点

第7章:「すぐに辞めてしまう」の解決策

・新入社員をフォローすべき4つのタイミング
・入社初日にすべきフォロー
・最初の休日前にすべきフォロー
・入社1か月目にすべきフォロー
・入社3か月目にすべきフォロー
・新人は「ほめる」事が定着への近道

【申込フォーム】

※開業前の方は、「事業所名」に「開業前」とご記入ください。
※開業前の方はご住所をご記入ください。
※岡本事務所のメールマガジンに登録させていただき、採用・補助金に関するお役立ち情報をお伝えします。
※メールマガジンは無料いつでも解除できます。

福祉・介護職員等特定処遇改善加算とは

福祉・看護職員以外の職種も含む賃金改善等について、一定の基準を満たした取り組みを行っている場合に算定される加算です

【ポイント】

「福祉・介護職員処遇改善加算」は、福祉などの現場の職員のみが該当する加算であるのに対し、「特定処遇改善加算」とは、管理者や事務員等の職員も加算対象となります

・前提として、「福祉・介護職員処遇改善加算」を算定している必要があります

・同じ区分であっても、運営している障害者福祉サービスの種類によって、加算単位数が異なります

要件

実施している処遇改善の取り組みの内容により、ⅠとⅡの2区分が設定されています。

処遇改善の取り組みの内容は「①配置等要件」「②現行加算要件」「③職場環境等要件」「④見える化要件」の4つに分けられます。

それぞれ以下のような処遇改善の取り組みが要件として含まれます。

①配置等要件

  • 福祉専門職員配置等加算を算定している

②現行加算要件

  • 福祉・介護職員処遇改善加算のⅠ~Ⅲのいずれかを算定している

③職場環境等要件

  • 賃金改善以外の処遇改善として職場環境の改善等に取り組んでいる

④見える化要件

  • 処遇改善の取り組みをホームページへ掲載するなどの方法で公表している

満たした要件の組み合わせにより以下の通り該当する区分が決定します。

配置等要件+現行加算要件+職場環境等要件+見える化要件

現行加算要件+職場環境等要件+見える化要件

賃上げのルール

賃上げする職員の種類や配分額には以下のようなルールがあります。

職員のグループ分け

職員を「A:経験・技能のある障害福祉人材」、「B:他の障害福祉人材」、「C:その他の職種」の3グループに分ける。

3グループのうち、どのグループに対して賃上げを行うかを決定する。

賃上げパターン

以下の条件に当てはまるように賃上げを行う

・Aのうち1人以上は、月額8万円の賃金増又は年収440万円までの賃金増が必要

・グループ(A、B、C)の平均賃金改善額について、AはBより高く、CはBの2分の1以下

・平均賃金額については、CがBより低い場合、平均賃上げ額をBグループと同等の水準とすることが可能

加算単位

加算される単位数は区分だけでなくサービスによっても異なります。

サービスごとの加算単位数は以下の通りです。

<居宅介護>
Ⅰ:所定単位数の7.0%を加算
Ⅱ:所定単位数の5.5%を加算

<重度訪問介護>
Ⅰ:所定単位数の7.0%を加算
Ⅱ:所定単位数の5.5%を加算

<同行援護>
Ⅰ:所定単位数の7.0%を加算
Ⅱ:所定単位数の5.5%を加算

<行動援護>
Ⅰ:所定単位数の7.0%を加算
Ⅱ:所定単位数の5.5%を加算

<療養介護>
Ⅰ:所定単位数の2.1%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.9%を加算

<生活介護>
Ⅰ:所定単位数の1.4%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.3%を加算

<短期入所>
所定単位数の2.1%を加算

<重度障害者等包括支援>
所定単位数の6.1%を加算

<施設入所支援>
所定単位数の2.1%を加算

<自立訓練(機能訓練)>
Ⅰ:所定単位数の4.0%を加算
Ⅱ:所定単位数の3.6%を加算

<自立訓練(生活訓練)>
Ⅰ:所定単位数の4.0%を加算
Ⅱ:所定単位数の3.6%を加算

<就労移行支援>
Ⅰ:所定単位数の1.7%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.5%を加算

<就労継続支援A型>
Ⅰ:所定単位数の1.7%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.5%を加算

<就労継続支援B型>
Ⅰ:所定単位数の1.7%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.5%を加算

<共同生活援助(指定共同生活援助)>
Ⅰ:所定単位数の1.9%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.6%を加算

<共同生活援助(日中サービス支援型)>
Ⅰ:所定単位数の1.9%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.6%を加算

<共同生活援助(外部サービス利用型)>
Ⅰ:所定単位数の1.9%を加算
ロ (Ⅱ) 所定単位数の1.6%を加算

<児童発達支援>
Ⅰ:所定単位数の1.3%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.0%を加算

<医療型児童発達支援>
Ⅰ:所定単位数の1.3%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.0%を加算

<放課後等デイサービス>
Ⅰ:所定単位数の1.3%を加算
Ⅱ:所定単位数の1.0%を加算

<居宅訪問型児童発達支援>
所定単位数の1.1%を加算

<保育所等訪問支援>
所定単位数の1.1%を加算

<福祉型障害児入所施設>
Ⅰ:所定単位数の4.3%を加算
Ⅱ:所定単位数の3.9%を加算

<医療型障害児入所施設>
Ⅰ:所定単位数の4.3%を加算
Ⅱ:所定単位数の3.9%を加算

手続き

届出が必要

スケジュール

計画書の提出スケジュール

算定する月の前々月

(例)

各年度の4月から加算を取得する場合は前年度の2月末日まで

※報酬改定がある場合は4月中旬などへ提出期限が延長される場合があります

各年度の実績報告書

各年度の最後の加算の支払いがあった月の翌々月の末日まで

(例)

3月サービス提供分の請求を4月に行い、5月に支払いを受けた場合は7月末まで

よくある質問(Q&A)

「A:経験・技能のある障害福祉人材」とはどのような職員ですか?

10年以上の経験を持つ介護福祉士等の事業所における中核人材です。

ただし、勤続 10 年以上経験が無くてもそれと同等のスキルを持つ人材であれば該当します。

厚生労働省の資料では以下のような職員が想定されています。

・勤続10年以上の職員を基本

・介護福祉士等に該当すること

・勤続年数は、他の法人や医療機関等での経験等も通算可能

・事業所の能力評価や等級システムを活用するなど、10年以上の勤続年数がなくても業務や技能等を勘案し対象とできる

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p7

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

「B:他の障害福祉人材」とはどのような職員ですか?

「A:経験・技能のある障害福祉人材」に該当しない障害福祉人材です。

具体的には以下のような職員が該当します。

※ Aに該当しない福祉・介護職員、心理指導担当職員(公認心理師含む)、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、サービス提供責任者

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について.p7

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

「C:その他の職種」とはどのような職員ですか?

障害福祉人材以外の職員で、例えば事務員や調理員が該当します。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

【参考】改訂版 就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)事業所 運営・管理ハンドブック,p179

月額8万円の賃上げは福祉・介護職員処遇改善加算の賃金改善分を含んでもよいですか?

賃上げ額に福祉・介護職員処遇改善加算の賃金改善分を含めることはできません。
なお、法定福利費を含めることができます。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p8

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

年度の途中から算定している場合にもその年度内の賃金が440万円以上となれなければいけませんか?

年収換算で440万円以上と見込まれる場合であれば問題ありません。
なお、440万円には法定福利費を含めることができません。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p8

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

すでに440万円の職員がいる場合には、新たに年収440万円以上の職員を設定する必要がありますか?

すでに年収440万円以上の職員がいる場合は、その職員をもって要件を満たすと考えることができます。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p8

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

年収440万円とは手当等を含んだ額ですか?

はい。
年収440万円には手当等を含めることができます。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p8

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

非常勤職員の年収はどのように判断すればよいですか?

非常勤職員の年収は常勤換算方式で計算し判断します。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p9

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

小規模な事業所であるため月額8万円や年収440万円をすぐに達成するのは難しい。このような場合には算定することができませんか?

以下のような場合は例外的に条件を満たさなくても算定できる場合があります。

小規模事業所で加算額全体が少額である場合

・ 職員全体の賃金水準が低い事業所などで、直ちに一人の賃金を引き上げることが困難な場合

・ 8万円等の賃金改善を行うに当たり、これまで以上に事業所内の階層、役職やそのための能力

・処遇を明確化することが必要になるため、規程の整備や研修・実務経験の蓄積などに、一定期間を要する場合

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p8

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

A、B、Cのうち該当する職員がいないグループがある場合はどのようにすればよいですか?

グループ分けは柔軟に設定することができます。

たとえば、事業所ごとに職員の在籍状況や分配方針に合わせて以下のようなグループ分けが可能です。

・Aグループに該当する人材がいないため、BとC人材のみを設定する

・福祉介護職員がすべてAグループに該当するため、AグループとCグループのみを設定する

・福祉介護職員だけに加算を分配したいため、AグループとBグループだけを設定する

・経験・技能のある福祉介護職員だけ配分したいため、Aグループのみを設定する

【参考】改訂版 就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)事業所 運営・管理ハンドブック,p180

各グループに含めるのは賃上げを行う職員のみでよいですか?

賃金改善を行わない職員も含む全職員でグループ分けを行います。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p9

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

平均賃上げ額は賃上げを行った職員のみの平均でよいですか?

賃金改善を行わない職員も含んだ平均です。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p9

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

同一法人が複数事業所を運営する場合は「月額8万円の改善又は平均年収440万円」に該当する職員は法人全体で1人いればよいですか?

事業所のごとに該当する職員が必要です。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p6

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

同一法人が複数事業所を運営する場合は「AはBより高く、CはBの2分の1以下」の設定は事業所全体で1人いればよいですか?

はい。事業所全体を一つの単位として取り扱うことが可能です。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の概要及び計画書のポイント等について,p6

https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/133905.pdf

職員の急な退職などにより計画書に記載の配分ルールを満たすことができなかった場合はどのようにすればよいですか?

実績報告時に合理的な理由を説明する必要があります。

計画通りの配分ができなかった場合でも、加算額以上の賃金改善を行っていることは必ず必要です。

【参考】厚生労働省、福祉・介護職員処遇改善加算等に関するQ&A,q15

https://www.mhlw.go.jp/content/000761213.pdf