【第6回】内定辞退を防ぐ方法
岡本 健太
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第1章:福祉人材の採用がより厳しくなっていく理由
・2040年の成人は2000年から80万人減る
・社員300人未満の中小企業の採用は厳しい
・コロナ後でもリーマンショック後の2.5倍の求人数がある
・報酬改定により人員配置が厳しくなっている
・障がい福祉事業所数(採用のライバル)は増えている
・課題を解決すれば定着人材は採用できる
第2章:「採用コストが高い」の解決策
・ハローワークで人が集まらない理由
・「人材紹介」と「求人広告」は高い
・一番求人が集めやすい媒体は〇〇
・いま注目を集めているのが「オウンドメディアリクルーティング」
・Indeedは無料掲載もできるが、細かい掲載基準のクリアが必要
第3章:「応募がこない」の解決策
・知らない会社には応募しようがない
・「検索結果=競合先(採用のライバル)」であると認識すべき
・漠然と「いい人が欲しい」では集まらない。ペルソナ設定をすべき!
・採用ペルソナ(どんな人がほしいか)の設定手順
・求人票は「求職者との最初の出会い」
・「急募」とか書いてませんか?「求職者目線」が大事な理由
・応募が集まる求人原稿テンプレート
・求人原稿のポイント①とにかく具体的に!
・求人原稿のポイント②検索されるキーワードをいれこむ
・求人原稿のポイント③「Why」から始め心を動かす
第4章:「面接にきてもらえない」の解決策
・応募がきたら〇分以内に電話すべし!
・電話がつながらなかった時の効果的な対策
・電話もショートメールも連絡が取れない場合の対処法
・再度の電話がかかりやすい時間
・人材紹介会社が当たり前にやっている「掘り起こし」もやるべき
・応募者がきてくれる面接日程とは
・面接の案内状を送付しよう
・面接のリマインドは〇日前にすると効果的
・面接当日、5分前に応募者が到着しなかったら電話しよう
・面接会場をわかりやすくしておく
・既存のスタッフも歓迎ムード迎える
・面接会場も整えておく(特に電気やクーラー)
・面接まで少し待たせてしまう場合用に事業所のパンフレット等を置いておく
・応募者に飲み物をだす
第5章:「面接のやり方がわからない」の解決策
・面接は異常な空間であることをまずは認識しよう
・面接官も身なりを整えるのがマナー
・「圧迫面接」は昭和の価値観・令和は「ファン化面接」
・応募者をファンにする面接の流れ
・面接1回でその場で内定をだすのはNG!別日に条件面談を行う
・面接を2回にわけて行う場合
・東証1部上場企業もやっている!面接後のフォロー方法
・結果を伝えるタイミングと見送る際の気配り
第6章:「内定を辞退される」の解決策
・結果は早く伝える。でも「内定」とは言わない
・条件面談を行う
・「いつまでも待ちます」はNG!正しい内定の出し方
・在職者に内定を出すときに必ずやるべきフォローとは
・サビ菅・児発管に内定を出すときの注意点
第7章:「すぐに辞めてしまう」の解決策
・新入社員をフォローすべき4つのタイミング
・入社初日にすべきフォロー
・最初の休日前にすべきフォロー
・入社1か月目にすべきフォロー
・入社3か月目にすべきフォロー
・新人は「ほめる」事が定着への近道
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結果は早く伝える。でも「内定」とは言わない
選考で合格となった場合、できる限り早く連絡をしましょう。
なぜなら、ライバルがいる以上、早く囲い込む必要があるからです。
もっとも、その際、「内定」という言葉は使わないようにしましょう。
なぜなら、内定は法律的には会社を縛る重いものであり、一度だすと取消すのが大変だからです。
というのも、「いつ入社するのか」を中心にもめ事が起こりがちで(前職との関係で何カ月も入社が先延ばしになる)、その場合に「(入社日に条件をつけなかった)内定通知」が足かせになるケースが多いからです。
ですので、まずは電話で「(内定という言葉は使わず)選考に合格しました」という風に伝えましょう。
その上で、入社日などの調整を行った上、しっかりと文言を精査し、文書で内定通知をだすようにしましょう。
条件面談を行う
給与等を伝えると共に、入社後の道筋を伝える
「条件面談」というのは、給与等条件面を伝える面談のことをいいます。
障がい福祉事業者さんではやられている所は少ないかもしれませんが、ある程度の規模感の企業は行っているものです。
具体的には、経験年数を踏まえた具体的な給与や有給休暇の日数などを伝える面談であり、選考には影響しない面談となります。
そして、条件面談の時に、「仮に入社が決まったら、〇〇さんにはまずはこういった事をやってもらいたいし、中長期的にはこういった事をしてほしい」といった事も伝えるようにしましょう。
なぜなら、そうすることで、応募者は「こういう仕事をするんだな」という具体的な働く姿がイメージできるようになり、辞退される確率が下がるからです。
ちなみに、くり返しになりますが、「内定」という言葉は、法律的なしばりが発生するため、まだこの段階では軽々しく使わないようにしましょう。
面接で良かった点を伝える
条件面談の際、「面接でこういった所を評価しました」といった面接で良かった点も伝えるようにしましょう。
なぜなら、応募者は「面接のどこが良かったかわからない」と感じているものなので、素直に良かった点を伝えることで、「そうだったんだ!」と事業所に対する印象がアップし、辞退率が低下するからです。
一緒に働くスタッフも紹介しておく
その場にいるスタッフだけでも構いませんので、出来る限り、一緒に働くであろうスタッフを紹介しておきましょう。
なぜなら、この段階では、良い面も悪い面も隠さず、リアルな労働環境を見てもらい、入社後のミスマッチを防ぐことが重要だからです。
在職者の入社タイミングの調整は要注意
そして、在職中の人については、「仮に内定となった場合、どういうスケジュールで入社できますか?」という事を必ず聞いておきましょう。
なぜなら、この質問をしないで、「いつまでも待ちますよ」と内定を出してしまい、だいぶ待った挙句に辞退されてしまうというトラブルがとても多いからです。
ですので、もし仮に内定を出すなら「入社予定日条件付き」の内定通知書等をだすようにしましょう。
「仮に内定がでたとしたら、入社していただけますか?」とさぐってみる
「〇〇さんは内定が出た場合、入社していただけますか?」と聞くようにしましょう。
なぜなら、この質問をする事で、「辞退されるかどうか」の感覚がつかめるからです。
その際、もし「ちょっと悩んでるんです」といった答えが返ってきたら、「ちなみに、どういった事で悩まれているんですか?」と質問するようにしましょう。
なぜなら、そうすることで、ライバルの状況や自社の不十分な点等も知ることができるからです。
求職者が悩んでいる場合の対処法
そして、求職者が悩んでいるようであれば、あえて内定はださず、
「それでは、1週間以内に入社の意思を表示頂けたら、そのタイミングで内定をださせていただきますね。今日、条件をださせていただいたので、ご家庭にもちかえって検討してみてください」
といった形で締めると良いでしょう。
なぜなら、内定を出してしまうと、会社が法的に縛られてしまうからです。
2回の面接でいく場合は、2回目の面接のときに条件面談をしてしまうのもアリ
中小企業の場合は、
①トップ(社長)の面談
②現場の責任者(一緒に働く人)
といった面談の2段階がおすすめです。
もしこの形でいく場合は、②現場の責任者の面談の際、
「それでは選考には合格ですので、今から条件面談をさせていただきますね」
と条件面談に途中から切り替える形で、セットでやってしまうのもありでしょう。
なぜなら、そうすることで、応募者の手間が省けるからです。
「いつまでも待ちます」はNG!正しい内定の出し方
良い人が来てくれると、「いつまでも待ってるから来てね」なんて軽くいってしまう社長さんも多いです。
ですが、「いつまでも待ちます」という形で内定を出すのはNGです。
なぜなら、内定は法的拘束力を生むため、一度だしてしまうと、そう簡単に取り下げることができないからです。
ですので、入社日が決まらないようなケースでは、「入社予定日を決めた時点で内定となる」といった書面を発行する、「入社予定日の条件付き」内定通知書を発行するといった形で対応するのが良いでしょう。
在職者に内定を出すときに必ずやるべきフォローとは
在職者に内定をだす場合は、前職の退職フォローを必ずやるようにしましょう。
なぜなら、前職で引き留めにあい、「ごめんなさい。内定辞退します」といった事になりかねないからです。
というのも、「お給料をあげるから残ってください」と慰留するケースも、人手不足の今、よくある話だからです。
現に、人材紹介会社は必ず退職フォローを必ずやっています。
というのも、退職経験がない方にとっては、「退職の仕方がわからない」というのは普通ですし、退職のマナー(例:どんな人でも1度は慰留するのがマナー)もわからないため、そこをフォローしておかないと、転職がとん挫する可能性が高いからです。
ちなみに、退職を一度申し出た場合は、「辞めきる」というのがその人にとっての幸せだったりもします。
なぜなら、一度退職を申し出て、「お給料を上げ上げるから」とその場では残ったとしても、お互い人間なので感情的なしこりが残るものだからです。
現に、「あの人はお金で残った」と周りから言われたり、不況の際に真っ先にリストラ候補となったりする等、悲惨なケースはよく聞きます。
だからこそ、「退職の方法」を教えてあげたり、「退職で困ったら相談してください」と声をかけたりするなどして、しっかりと退職フォローをしてあげましょう。
サビ菅・児発管に内定を出すときの注意点
サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者に内定をだす場合は、注意が必要です。
なぜなら、実務要件や研修要件が複雑なため、「法的にサービス管理責任者(児童発達支援管理責任者)につけるのか」といった点の精査が必要だからです。
「内定をだしてから、実はサビ菅の要件を満たしていませんでした」といった事になると、労働問題になりかねませんし、もしサビ菅(児発管)不在のブランクができてしまったら、人員配置違反になってしまいますので、注意しましょう。
ですので、サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者に内定をだす場合は、顧問の行政書士がいれば聞いてみるべきですし、つけてない場合は指定権者に確認を取ってから内定をだすようにしましょう。
ちなみに、同様の問題は、児童指導員に実務経験でなるケースでも起こります。というのも、社会福祉士といった国家資格で児童指導員になるといったケースであれば「児童指導員になれるか否か」がわかりやすいのですが、実務経験で児童指導員になるケースだと「この実務経験でOKか」という問題がでてくるからです。
ですので、実務経験で児童指導員になる人を採用する場合も、必ず指定権者に確認をしてから内定をだすようにしましょう。
まとめ
【結果は早く伝える。でも「内定」とは言わない】
→選考結果は早く電話で伝えるが「合格しました」と言い、「内定」の言葉は使わない。なぜなら、内定を一度だすと取消が法的に難しいため、入社日などの条件を踏まえ、文書で通知する必要があるから。
【条件面談を行う】
→面接の良かった点を伝え、スタッフも紹介し、入社日の調整も行う
【「いつまでも待ちます」はNG!】
→「入社予定日を決めた時点で内定となる」といった書面を発行するor「入社予定日の条件付き」内定通知書を発行するといった対応をとる。
【在職者に内定をだすときは前職の退職をフォローする】
→退職の方法を教えたり、困った時に相談にのる等してフォローする
【サビ管・児発管に内定をだす時の注意点】
→内定をだす前に指定権者に確認を取る
以上となります。
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