【令和3年報酬改定対応】目標工賃達成指導員配置加算とは?資格要件も解説
岡本 健太
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この記事の内容
✓ 工賃向上のための専門スタッフ(目標工賃達成指導員)を、通常の人員配置にプラスして配置すると、加算できる
✓ 目標工賃達成指導員は無資格者でもOKだが、高単価案件の受注といった営業まわりや、作業工程の効率化といったオペレーションコンサル的な役割が求められるため、福祉とは別畑の人を雇うのもアリ
✓ サビ菅、管理者との兼務は不可だが、時間を区切れば、生活支援員・職業指導員との兼務は可能
✓ 令和3年報酬改定でも基本報酬が工賃に左右される形となったことをふまえると、今後も工賃の向上がテーマとなってくるため、とっておきたい加算
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第1章:福祉人材の採用がより厳しくなっていく理由
・2040年の成人は2000年から80万人減る
・社員300人未満の中小企業の採用は厳しい
・コロナ後でもリーマンショック後の2.5倍の求人数がある
・報酬改定により人員配置が厳しくなっている
・障がい福祉事業所数(採用のライバル)は増えている
・課題を解決すれば定着人材は採用できる
第2章:「採用コストが高い」の解決策
・ハローワークで人が集まらない理由
・「人材紹介」と「求人広告」は高い
・一番求人が集めやすい媒体は〇〇
・いま注目を集めているのが「オウンドメディアリクルーティング」
・Indeedは無料掲載もできるが、細かい掲載基準のクリアが必要
第3章:「応募がこない」の解決策
・知らない会社には応募しようがない
・「検索結果=競合先(採用のライバル)」であると認識すべき
・漠然と「いい人が欲しい」では集まらない。ペルソナ設定をすべき!
・採用ペルソナ(どんな人がほしいか)の設定手順
・求人票は「求職者との最初の出会い」
・「急募」とか書いてませんか?「求職者目線」が大事な理由
・応募が集まる求人原稿テンプレート
・求人原稿のポイント①とにかく具体的に!
・求人原稿のポイント②検索されるキーワードをいれこむ
・求人原稿のポイント③「Why」から始め心を動かす
第4章:「面接にきてもらえない」の解決策
・応募がきたら〇分以内に電話すべし!
・電話がつながらなかった時の効果的な対策
・電話もショートメールも連絡が取れない場合の対処法
・再度の電話がかかりやすい時間
・人材紹介会社が当たり前にやっている「掘り起こし」もやるべき
・応募者がきてくれる面接日程とは
・面接の案内状を送付しよう
・面接のリマインドは〇日前にすると効果的
・面接当日、5分前に応募者が到着しなかったら電話しよう
・面接会場をわかりやすくしておく
・既存のスタッフも歓迎ムード迎える
・面接会場も整えておく(特に電気やクーラー)
・面接まで少し待たせてしまう場合用に事業所のパンフレット等を置いておく
・応募者に飲み物をだす
第5章:「面接のやり方がわからない」の解決策
・面接は異常な空間であることをまずは認識しよう
・面接官も身なりを整えるのがマナー
・「圧迫面接」は昭和の価値観・令和は「ファン化面接」
・応募者をファンにする面接の流れ
・面接1回でその場で内定をだすのはNG!別日に条件面談を行う
・面接を2回にわけて行う場合
・東証1部上場企業もやっている!面接後のフォロー方法
・結果を伝えるタイミングと見送る際の気配り
第6章:「内定を辞退される」の解決策
・結果は早く伝える。でも「内定」とは言わない
・条件面談を行う
・「いつまでも待ちます」はNG!正しい内定の出し方
・在職者に内定を出すときに必ずやるべきフォローとは
・サビ菅・児発管に内定を出すときの注意点
第7章:「すぐに辞めてしまう」の解決策
・新入社員をフォローすべき4つのタイミング
・入社初日にすべきフォロー
・最初の休日前にすべきフォロー
・入社1か月目にすべきフォロー
・入社3か月目にすべきフォロー
・新人は「ほめる」事が定着への近道
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目標工賃達成指導員配置加算とは
就労継続支援B型事業所で、「利用者の工賃向上のための専門スタッフ(目標工賃達成指導員)」を追加配置すると算定できる加算
目標工賃達成指導員配置加算は、工賃を向上させるための専門のスタッフである「目標工賃達成指導員」を追加配置することで加算できます。
あくまでも「追加配置による加算」のため、通常の人員配置にプラスする形で目標工賃達成指導員を配置しないと加算ができません。
趣旨(目標工賃達成指導員配置加算)
就労継続支援B型事業所においては、利用者さんに工賃を支払いますが、「工賃をいかにあげていくか」がポイントとなってきます。
そのため、都道府県も「工賃向上計画」を策定していますし、各事業所においても「工賃向上計画」を作成することとなっています。
この「工賃向上計画」が絵に描いた餅にならないよう、実行支援していくためのスタッフが「目標工賃達成指導員」になります。
ですので、目標工賃達成指導員は、「高単価案件の受注」といった営業まわりであったり、「作業工程の見直しによる生産性向上」といったオペレーション改善の役割も担う事となります。
こういった、専門スタッフ(目標工賃達成指導員)の人件費をカバーするための支援が、目標工賃達成指導員配置加算になります。
要件
以下の条件を満たすように目標工賃達成指導員を配置する必要があります。
- 工賃向上計画を作成していること
- 基本の人員配置(職業指導員・生活支援員)を7.5:1以上にしていること
- 目標工賃達成指導員を、通常の人員配置とは別に配置すること(常勤換算で1人以上)
- 「職業指導員+生活支援員+目標工賃達成指導員」の合計人数が、常勤換算で「利用定員を6で割った人数」以上
加算単位
加算される単位は、「施設の利用定員」に応じて変化します。
なお、目標工賃達成指導員を複数人配置することも可能ですが、複数人配置しても加算単位は変わりません(体制加算だから)。
利用定員 | 報酬単価 |
20人以下 | 89単位(1日) |
21人以上40人以下 | 80単位(1日) |
41人以上60人以下 | 75単位(1日) |
61人以上80人以下 | 74単位(1日) |
81人以上 | 72単位(1日) |
算定対象
全員に加算
届出時期
算定開始時
「目標工賃達成指導員」とは
「工賃向上計画」を達成するための取り組みを行うスタッフ
職務の具体的な内容は法律で定められていませんが、一般的に工賃向上のため以下のような取り組みを行います。
【職務内容】
- 生産作業として受託している業務の単価向上のための交渉を行う
- 新しい作業を受注する(できれば高単価案件)
- 作業能力を向上し、作業単価がより高い作業を行えるようにする
- 作業工程見直し等により作業効率を向上する
目標工賃達成指導員の資格要件
必要な資格要件はありません。
ただし、ビジネス的な素養が必要です。
なぜなら、工賃アップのため発注者側と交渉したり、より高単価案件を受注するための新規開拓といった活動が必要となるからです。
目標工賃達成指導員は常勤職員じゃなきゃダメなの?
非常勤でもOK
常勤換算で1人以上配置のため、必ずしも常勤職員を雇う必要はありません。
目標工賃達成指導員は兼務できるか?
他の職種との同時並行的な兼務は不可(原則)
もっとも、「同時並行的」という限定がはいっているのがポイントです。
これはつまり、業務が「同時並行的にならなければ兼務OK」ということでもあります。
ですので、「勤務時間を明確に分ける」といった措置をすれば、他の職種(例:生活支援員)と兼務することも可能となります。
もっとも、この場合でも、多職種からみた制限があるので、注意が必要です。
具体的には、サービス管理責任者、管理者との兼務は不可となっています。
以下で、それぞれの職種ごとに、兼務の可否について説明しますね。
サビ管と目標工賃達成指導員は兼務できるの?
兼務できません
なぜなら、サービス管理責任者は専従(専らその職務に従事)という要件が課されているからです。
管理者と目標工賃達成指導員は兼務できるのか?
兼務はできません
なぜなら、目標工賃達成指導員配置加算は、「加配」に対する加算のため、いくら管理業務に支障なしといっても、管理者が同時並行的に兼務したのでは、「加配」とはいえなくなってしまうからです。
ちなみに、実際、厚生労働省のQ&Aでもその旨回答がなされています(平成21年3月12日厚生労働省Q&Avol1)。
上記厚労省資料を引用した宮城県資料がわかりやすいので、リンクを貼っておきますね。
時間を区切っても管理者の兼任はダメなの?
不可と考えられます
なぜなら、管理者をしている人間が、時間を区切って目標工賃達成指導員となってしまうと、管理者不在となる時間が発生してしまうからです。
生活支援員、職業指導員は目標工賃達成指導員と兼務できるか?
時間をわければ兼務できます
というのも、「他職種と同時並行的」になっていなければ兼務可能とされているからです。
目標工賃達成指導員・配置例【まとめ】
配置 | 結論 |
非常勤を2人配置(例:4時間×2名) | 〇 |
生活支援員・職業指導員と兼務(例:生活支援員4時間、目標工賃達成指導員4時間といった形で勤務時間を分ける人間を2名配置) | 〇 |
サビ菅と兼務 | × |
管理者と兼務(例:管理者8時間、目標工賃達成指導員8時間(同時並行的兼務)) | × |
まとめ
・目標工賃達成指導員は、常勤でなくてもOK(例:非常勤2人配置もOK)
・生活支援員、職業指導員は、時間を区切れば、兼務可能
・サービス管理責任者は、兼務できない(サビ菅自体に専従要件があるから)
・管理者も兼務できない
よくある質問
目標工賃達成指導員は配置したほうがよいのか?
配置したほうがよいです。
なぜなら、経営的観点で言うと、「資格がない非常勤の人の配置」でもとれる加算だからです。
また、基本報酬についてみても、「平均工賃額に左右される形となった(令和3年報酬改定)」ことをふまえると、専門スタッフ(目標工賃達成指導員)をおく必要性が増しているからです。
目標工賃達成指導員は、福祉・介護職員処遇改善加算(福祉・介護職員等特定処遇改善加算)の対象になるの?
対象になります。
なぜなら、処遇改善加算は直接支援スタッフを対象とした制度ですが、目標工賃達成指導員に関しても、「利用者のスキルアップのための直接支援」を行っているからです。
実際、下記の厚生労働省Q&Aにおいても認められています(以下のリンクの問4)。
多機能型の事業所において、加算単位算定の定員はどう判断すればいいのか?
【例】
・就労継続支援B型:10名
・就労移行支援:10名
・生活介護:10名
合計30名の多機能型事業所
【答】
就労継続支援B型の定員のみで判断します
なので、加算要件を満たした場合は、20名以下の単位(89単位が加算される)
参考
平成21年5月11日付平成21年度障害福祉サービス報酬改定に係るQ&A(VOL.3-1)
工賃向上計画を作成予定でも加算できるか?
できません
あくまでも工賃向上計画が作られているのが前提です。